桜の花びら舞う頃に
「……くん」





(……ん?)





「……ねぇ、悠希くんってば……」




気が付けば、全員の視線が悠希に集まっている。


「うわぁっ!?」

「『うわぁっ』じゃないってば、お前は」


驚く悠希に、玲司は似たようなことが前にもあったぞと、苦笑いを見せる。


「悠希くん……とても優しい笑顔、浮かべてたね」


悠希の横顔を見つめながら、さくらは微笑んだ。

そんなさくらに、照れながらも微笑みを返す悠希。




(たぶん……由梨さんとの思い出のことだったんだろうな……)




そう思うさくら。


胸がチクリと痛む。



< 239 / 550 >

この作品をシェア

pagetop