桜の花びら舞う頃に
「……あ、ほらっ! 旅館の看板が見えたよ!」



その時、麻紀がひときわ大きな声を上げた。


全員の視線が、一斉に集中する。


道路脇に備え付けられた看板。




そこには、




『ようこそ、笹の葉旅館へ!』




と、大きな文字で書いてあった。



「この看板が見えたら……」



さくらは気を取り直して、麻紀を振り返る。



「うん、旅館まで100メートル!」



麻紀も、それに答える。



「ということは……」


「「遊園地も、あと少し!」」



2人は声を合わせて言った。


「うわーいっ!」


拓海は両手を上げ、万歳の格好を取る。



「僕ねー、僕ねー、僕ねー! 乗りたいのが、い~っぱいあるの!」




ジェットコースターでしょ~



メリーゴーラウンドでしょ~



観覧車でしょ~




思い付くアトラクションを、指折り数え出す拓海。


その間に車は旅館の脇を通り抜け、そして遊園地のゲートにまでたどり着いていたのだった。









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