桜の花びら舞う頃に
色とりどりの店が立ち並ぶレストラン街。


その一角にある店の前に、5人は立っていた。



「ここが、2人がバイトした店かぁ……」



玲司は、じっくりと観察するかのように、店を眺めた。





レストラン・ケレス





石造りの城のような外観は、遊園地のイメージに合いすぎるくらい合っていた。


「懐かしいなぁ」


「色々忙しくて、大学卒業してからは来られなくなっちゃったもんね」


そう言いながら、入り口の大きな扉を押し開ける。


重厚そうに見える、その扉。

しかしそれは、力を入れなくても楽に開いてくれた。




扉を開けた途端、5人の鼻を食欲をそそる香りが襲う。



「うわ……いい香り……」


「ここは、パンが有名なんだよ」


「……うおっと、ヨダレが……!」


「もうー!」


「早く食べようよー!」



5人は、店員に案内されて、店の奥へと進んでいく。



「この店員さん……知らない人だね」


「新しい人が入ったのね」



さくらと麻紀は、そっとささやきあった。








< 243 / 550 >

この作品をシェア

pagetop