桜の花びら舞う頃に
「では、ご注文がお決まりになりましたら、ボタンを押してお呼び下さい」


一礼をし、去っていく店員。


「あ、ちょっと待って!」


その背中ごしに、麻紀は呼び止めた。


「店長さんはお元気ですか? 私たち、昔、ここでバイトしてたもので……」

「そうなんですか!」


その言葉に、店員はニッコリと微笑む。


「それでは、少々お待ち下さい。今、店長を呼んで参りますので」


そう言うと、店員は再び一礼し去っていった。



「若林さん、元気かなぁ?」


さくらは言う。

若林さんとは、ここケレスの店長の名前だ。


「若林さんが焼くパンが美味しいって、はるばる県外から来る人も多いのよ」


麻紀は、悠希たち3人に得意げに説明した。


「ここは、見た目も凝ってるよね」


「パパ、あそこに滝があるよ!」


「センスいいよな~!」


3人は感嘆のため息をついていた。






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