桜の花びら舞う頃に
「凄いねぇ……」



去っていく松坂の背中を見つめながら、さくらはつぶやいた。


「よっぽど美味いんだろうな~」


玲司の言葉に、麻紀は


「もちろん!」


と、豊かな胸を張る。


「じゃあ、今度は本店の方に行ってみようか」


悠希の言葉に、皆、一斉にうなずく。




そして、本店行き計画を練ろうとした、





その時━━━





「━━━は~い、みんなー! お話はそれまでー!」




パンパンと手を叩いて、拓海は4人を制した。




(あ……あれ、あたしの真似だ)




騒がしい教室を静める時に、さくらがよくする行動。

それを真似た拓海に、思わずさくらはクスッと笑った。


「なんだよ、拓海~?」


尋ねる玲司に、拓海はずいっとメニューを突き付けた。



「みんな、早く決めちゃいなさーい! 僕は、もう決まったよー」



一瞬の沈黙。


顔を見合わす4人。


そして、テーブルは笑いの渦に包まれた。


「何がおかしいの~?」


拓海は、キョトンとした表情を浮かべる。


「いや……学校で、こんな風に言われてるんだな~と思ってさ」


悠希は、笑いながら拓海の頭を優しくなでた。


「ごめんね、オナカ減ってたんだよね」

「今、決めるからね」

「よし! じゃ、俺はこれで!」







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