桜の花びら舞う頃に
「どうした?」


追いついた悠希は、拓海の隣りにならんでその建物を眺めた。


「……あ~」


緊張した表情の拓海。

苦笑する悠希。

そこに、後の3人が追いついてきた。



「何見てるの?」


「あ~、お化け屋敷かぁ」


「ん? なんだ、拓海。もしかして、怖いのか?」


「ち、ち、ち、違うよっ!」



からかうような玲司に、ムキになって拓海は反論する。



「そ、そんなに言うなら……ここに入ろうよっ!」


「だ、大丈夫なの? た~君」


「うん! だって僕、男の子だもん!」



心配そうにのぞき込むさくらに、胸を張る拓海。



「じゃあ、みんなで入ろうか」


「えっ!? ちょ、ちょっと麻紀ちゃん、あたしは……」



麻紀の提案に、さくらは何かを言いかける。



「……よ~し! さくら先生、行こっ!」


「きゃっ!? た~君、ちょっと待って……」



しかし、拓海に手を引かれてしまい、それ以上言葉を続けることは出来なかった。







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