桜の花びら舞う頃に
「━━━っ!!」





さくらは、先ほどから声にならない悲鳴を発していた。


「……大丈夫? さくらちゃん」


悠希は、小声でそうささやく。


「悠希くん……」


振り向くさくらは、消え入りそうな声で悠希の名前を呼んだ。


「どうしたの? 大丈夫?」

「あたし……」


悠希の袖をつかむ手に力が入る。


「あたし、本当は苦手なの!」

「……え?」

「た~君の前だったから強がってみたけど……本当はお化けって大嫌いなのーっ!」


さくらは、消え入りそうな声はそのままに、自分の気持ちを打ち明けた。


「どうしよう……こんなんじゃ、あたし出口まで持たないかも……」


必死な瞳で、悠希を見つめるさくら。



その表情に、悠希の心臓は強く脈打った。





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