桜の花びら舞う頃に
「さくらちゃん……」



悠希は、袖をつかむさくらの手をそっと外す。



「え……悠希くん!?」



そして、すぐさまその手に自分の手を合わせ、強く握りしめた。



「この方が、安心出来るでしょ?」



そう言って、悠希は優しく微笑んだ。








トロッコは、更に奥へと進む。


演出は、奥に進めば進むほど激しく、恐ろしいものになっていく。




「━━━!!」




その度、握った手に思わず力が入る。

すると、同じタイミングで相手も強く握り返してくる。




ああ、闇の中でも1人じゃない。

つながっているんだ━━━




そう思うだけで、不思議と勇気と心強さが湧いてくるのだった。







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