桜の花びら舞う頃に
「しかし……こんなに怖かったのに、た~はよく平気だったなぁ」


「あ、それ、あたしも思った! ずいぶん静かだな~って」


「まさか……気絶してるんじゃないだろうな……?」




そう言って、2人は前で身動き一つしない拓海をのぞき込んだ。




「あ……コイツ!」


「あははっ、可愛い!」




拓海の目は、強くつぶられていたのだった。


背筋を伸ばし、瞳を強くつぶり、口を真一文字に閉じた拓海。


その姿がおかしくて、そして、たまらなく可愛くて、2人はまた笑い合った。








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