桜の花びら舞う頃に
顔を背け、でも嬉しそうに赤らめている2人。



そんな2人の一部始終を見ていた瞳があった。




(この2人……何かあったな……)




麻紀の目が鋭く光る。




(初々しいことで……)




麻紀は、ため息まじりに微笑んだ。



「なぁ、麻紀……」


「ん?」



自分を呼ぶ声。

麻紀は、そちらに視線を向ける。


そこには玲司、そして拓海の顔が並んでいた。

2人とも、真剣な表情を浮かべている。



「麻紀は……どう?」


「どうって……」



玲司は小声で話す。


その様子に少し気圧されたように、麻紀は前に座る2人に目を戻した。



「私としては……もう少し、このまま様子を見たいな」



その瞳には、楽しげに話す悠希とさくらが映っている。





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