桜の花びら舞う頃に
じゃれあう2人に、麻紀は声をかける。


「何が違うの? 話が見えないんだけど……」


その言葉に、2人は顔を見合わせた。


「お前……話、聞いてたんじゃなかったの?」


玲司は苦笑いを浮かべる。


「うん……実は……」


首をすくめる麻紀。


「仕方のないヤツめ……あのな……」

「わーっ!! 言わないでーっ!!」


しかし、拓海があわてて止めに入る。




「僕が、さくら先生を好きなのは、内緒なんだからーっ!」




車内に響き渡る声。


「……お、おい……拓海」

「……あ」


つい、口を滑らせた拓海。

恥ずかしさのあまり、更に顔を赤く染め上げる。






その時━━━






「ありがとう、た~君。先生も大好きよ」




さくらが後ろを振り返った。


「せ、先生! 聞いてたの!?」

「そりゃあ、それだけ大きな声出せばな」


悠希も笑いながら、ルームミラーで拓海を見る。


「拓海、バレちゃったぞ」


玲司が、拓海の頬を突っつく。


「拓海は、悠希がさくらちゃんとたくさん話してるのが、うらやましいんだよな」

「そ、そうなのか?」

「ご、ゴメンね! た~君とも、いっぱい話すよ」


鏡の中の拓海は、照れくさそうに笑っていた。








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