桜の花びら舞う頃に
足音は……






今度は、遠ざからなかった。






ピンポーン!

ピンポーン!



「麻~紀~ちゃん!」

「~~~っ!」



麻紀は、額に手を当てた。

そして、深く息を吸い込むと、勢いよく扉を開く。



「ちょっと、さくらっ!」

「やあ、麻紀ちゃん」

「『やあ』じゃないよっ!」



麻紀は、苛立ちを隠さずに言った。



「だって……」



さくらの瞳が、悲しみの色に染まる。



「だって……頭じゃ満足しなきゃ、終わらなきゃって思っても……」



そして、胸に当てたてを、もう一方の手で強く握り締めた。



「心が……わかってくれないんだもん……」



さくらに、深い悲しみと戸惑いが襲いかかっていることが、目に見えてわかる。





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