桜の花びら舞う頃に
……1コール。





……2コール。





……3コー……




『はい、もしもし』





(出たっ!!)





「悠希くん! あたし、さくら!」



必要以上に、大きな声が出る。

それを見守る麻紀の手にも、思わず力が入る。



「ううん……こちらこそ、ありがとう」



さくらは、チラリと麻紀を見た。



『行け! 行け!』



と、麻紀は口パクで指令を出す。



「ゆ、悠希くん、あのねっ!」



心臓の鼓動が早くなる。



「あたし……」



思わず、声が裏返りそうになる。



『どうしたの? さくらちゃん』



電話の向こうの悠希は、そんなさくらの気持ちには気づいていない。

いつものように、優しく笑う声が聞こえる。




さくらは大きく息を吸い込むと、覚悟を決めた。





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