桜の花びら舞う頃に
「あーっ! こらっ、パパっ!」



突然響く拓海の声。

振り返ると、腰に手を当て仁王立ちになっている拓海がいた。


「テレビ、見てないなら消しなさーい!」


怒る拓海。

その姿が可愛くて、悠希は思わず微笑んだ。


「何がおかしいのっ!」

「いや、ごめんごめん」


そんな拓海を、たしなめる悠希。


「いや……そんな風に、お兄ちゃんみたいなこと言うようになったんだな……ってさ」


そう言いながら、悠希は拓海の頭をなでた。

そして、テレビの方に顔を向ける。


「パパな……この後にやる天気予報が見たいんだよ」


「天気予報~?」


拓海は、首をかしげる。


「ああ……もうママの命日だろ?」

「……うん。だから今日、おじいちゃん、おばあちゃんのとこと……ママのお墓に行くんだよね」

「そう……だから、天気が気になってな」







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