桜の花びら舞う頃に
「それじゃ、また来ますね」

「またね~」



由梨の実家から、悠希と拓海の声が聞こえてくる。


「2人とも……来てくれて、ありがとうな」


由梨の父の大輔は、玄関で靴をはく2人にそう言って頭を下げた。


「いえ……」


悠希は、大輔に向き直る。


「こちらこそ、なかなか来られなくてすみません」


そう言って、悠希も頭を下げた。


「でも……こうして忘れずに、お線香をあげに来てくれるんだから」


そう言いながら、奥からエプロンで手を拭き、すみれが姿を現す。



「はい……」


「でもね……」



すみれは、そっと悠希にささいた。



「そろそろ考えてくれてもいいのよ……」


「お義母さん……」


「悠ちゃんと、た~ちゃんの幸せのことも……」









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