桜の花びら舞う頃に
由梨の家を出て、すぐに雨は小降りになり……


そして、いつしか空に晴れ間が広がった。



「パパ! 天気予報通りだね!」


「そうだな」



悠希は、ハンドルを握りながら微笑む。


2人の目的地は、由梨が眠る共同墓地。

天気予報に合わせて、墓参りは由梨の実家の後にしたのだった。






車で走ること30分。

ようやく、目的の墓地が見えてきた。






と、その時━━━






「あーっ、パパーっ!」

「うん、凄いな、た~!」


車内に、喜びの声が響き渡る。


2人が見上げた青空のキャンバス。


そこには、大きく鮮やかな虹が描かれていたのだった。





「あの虹の橋を渡ったら……ママに会えるのかな……」





瞳いっぱいに虹を映しながら、拓海はそっとつぶやくのだった。








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