桜の花びら舞う頃に
月島家之墓





そう刻まれた墓石の下に、由梨は静かに眠っている。


その墓石の前に、2人は立っていた。


「久しぶりだな」

「すぐ、綺麗にするからねー!」


そう言うと2人は草をむしったり、ゴミを拾ったりと、墓石の周囲の掃除を始めた。

それが終わると、今度は墓石に水をかける。

濡れた墓石は、つややかに黒く光り輝く。


「ママ、気持ちいいかな?」


無邪気な声でそう尋ねる拓海に、悠希は微笑みを返した。


「ああ……きっと、さっぱりしたって喜んでるよ」




その後、買ってきた花と線香を供える。


色とりどりの小さな花が、束になって寄り添うその姿。


それは、とても綺麗で……




でも……




どことなく、はかなく見えた。






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