桜の花びら舞う頃に
「本当は、ママが好きだった向日葵(ひまわり)の花を持って来たかったんだけどな……」

「ごめんね、ママ。まだ、どこにも売ってなかったの」


向日葵の花を求めて何軒も花屋をまわってはみたが、やはり7月頭では難しいらしく、手に入れることは出来なかったのだ。


「……さあ、手を合わせて、ママとお話しよう」


悠希に促され、拓海は手を合わせ瞳を閉じる。

その様子を確認した悠希も、続いて手を合わせ瞳を閉じた。









由梨……



俺たちは、元気でやっているよ……



た~も、こんなに大きくなった……



子供って、凄いな……



日々の成長が、目に見えてわかるんだ……



本当に、凄いよ……








線香の煙りは、天に向かって高く高く伸びていった……







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