桜の花びら舞う頃に
「あーっ、月島くん、た~ちゃん!」



凛(りん)とした声が響き渡る。



「あ、香澄ちゃーん!」



拓海が、嬉しそうな声を上げた。



「こんにちは、月島くん、た~ちゃん」



現れた香澄は、仕事の時とは違いカジュアルな格好をしている。

そして、その手には立派な花束を抱くようにして持っていた。


「こんにちは……って、今日はどうしたんです?」

「どうしたって……今日は、由梨さんの命日前の日曜日じゃない」


そう言いながら、香澄は花束を墓石に供える。


「だから、お墓参りに来たんだけど……迷惑だった?」

「い……いえ、ありがとうございます! 由梨も、きっと喜びます」

「そう……良かった」






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