桜の花びら舞う頃に
香澄は微笑むと、墓石に向き直った。


そして、静かに手を合わせ瞳を閉じ……



「ちょっ、ちょっと待ってよ!!」



あまりに自然にことを進める香澄に、エリカは慌てる。



「アタシを無視して、何してんのよ!」



言葉を荒げるエリカ。


それを、鼻で笑う香澄。



「あら、エリカさん。また出たの」


「『出たの』って……人を害虫みたいにーっ!!」


「似たようなものじゃない」


「何ぃ!?」


「ちょ、ちょっと、2人とも!」



見ていられなくなった悠希は、間に割って入る。


「いい加減にして下さい! ここはお墓ですよ!」


悠希のその剣幕に、子供のように2人は肩をすくめた。


「ご……ごめんなさい、月島くん……」

「ごめんね、悠希……」


素直に謝罪する2人だったが……


「アンタのせいで、怒られたじゃない!」

「何よ、それはこっちのセリフよ!」


再び、火花を散らし始める。






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