桜の花びら舞う頃に
「ふ・た・り・と・も!!」




「お~? みんな揃ってるんだなー」




悠希が、怒りの口を開こうとした時、それを遮る形で玲司が現れた。

見れば、玲司の隣りには麻紀がいる。







そして━━━







「あーっ、さくら先生ーっ!!」



麻紀の後ろには、さくらが立っていた。

3人とも、手には綺麗な花束を持っていた。


「こんにちは~」

「こ、こんにちは……」


麻紀は明るく、さくらは少しうわずった声で挨拶をする。


「れ……玲司、何でみんなで?」


悠希は、内心の動揺を悟られないよう、平静を装った声で言う。


「ん? うん、由梨ちゃんのお墓参りにさ……」


玲司は、そんな悠希に気付かないふりをして言葉を続ける。


「俺1人で行くのは、悠希に悪いと思ってさ……」


そして、玲司は親指を立て、後ろで並ぶ2人を指差した。


「せっかくだから、2人も誘ってみたんだ」

「ごめんね、悠希くん」

「……迷惑だった?」


申し訳なさそうに見つめる2人に、悠希は笑いながら首を振った。


「いや……ただ、少し驚いただけだから」


そう言うと悠希は、


「ありがとう」


と、頭を下げる。


「こ、こちらこそ!」


つられて、さくら、そして麻紀も頭を下げた。


「何やってるんだ、君たちは……」


その様子に、玲司は苦笑いを浮かべる。




< 289 / 550 >

この作品をシェア

pagetop