桜の花びら舞う頃に
第39話『約束の橋』
由梨の実家から、車で30分ほど行った先にある霊園。


高台に作られたこの大きな霊園の中に、月島家の墓はある。


そして、その墓の下で、由梨は静かに眠っている。




今は梅雨の時期。


由梨を失った季節が、今年もまたやってきた。




夕べから降り続いていた雨は昼過ぎに上がり、今は眩しいばかりの太陽が顔を見せている。


そのため、辺りは湿気を帯びていた。


しかし、不快になるような湿度ではない。


それは、爽やかに頬をなでていく風のおかげだろうか。


もしかすると、墓地特有の雰囲気のせいかもしれない。





その一角に、7人はいた。


悠希、拓海、さくら、玲司、麻紀、香澄、そしてエリカ。


それぞれ、由梨の墓に線香を供え、そっと手を合わせる。






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