桜の花びら舞う頃に
「だ、だって……」


「大崎グループの今の社長って……切れ者だけど、超が付くくらい冷静で、現実主義で……」


「うん、エリカとは正反対のタイプよね……」



いまだに信じられない様子を見せる6人に、エリカは額に手を当て再びため息をついた。


「……確かにお兄ちゃん……今の社長とは、すれ違ってばかりだけどさ……」


そう言いながら、祖父が眠る墓石をそっと見つめる。


「でもね……おじいちゃんがいた時は、まだ違ったんだ……」


エリカは、どこか遠い目をする。



「おじいちゃんは、人と人のつながりを大切にする人で……だから、お墓も先祖代々の墓に~って遺言でさ……」


「エリカ……」


「アタシ、おじいちゃんが亡くなる時に約束したんだ……自分に真っ直ぐに生きるって!」



エリカの瞳に涙が光る。

しかし、それを悟られないように、エリカは6人に背を向けた。







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