桜の花びら舞う頃に
そして、訪れる沈黙。


7人の頬を、風が優しくなでていく。



「エリカのおじいちゃんって……」



その沈黙を破ったのは、さくらだった。


風にたなびく髪を押さえながら、さくらは言葉を続ける。


「いい……おじいちゃんだったんだね」

「うん……」


エリカは短く返事をすると、素早く涙を拭いて振り返った。



「だからアタシ……おじいちゃんのこと、大好きだったんだ」



そう言って、エリカは笑顔を見せる。




(エリカって……こんな風に笑えたんだ……)




悠希は、エリカの新たな一面を見た気がした。






その笑顔は、とても自然で……


とても穏やかだった。



エリカの祖父、源一郎がこの世を去る前の……


まだ少女だった頃のような、無邪気な笑顔で……







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