桜の花びら舞う頃に
「おじいちゃんには、また感謝しなきゃ」



エリカは、空を見上げる。

そこには、線状の雲が長く伸びていた。



「感謝?」



麻紀の言葉に、エリカは視線を戻す。



「そう……今日、悠希と出逢えて付き合えたことに」

「あ~、なるほ……って、違うっ!」



一瞬、納得しそうになる悠希、さくら、香澄の3人。

しかし、すぐさま気付いて言葉を否定した。


「嘘つかないでって、言ってるでしょ!」

「少し見直した、私がバカだったわ!」

「あはは、バレた? さり気なく付け加えたツモリだったんだけど~」


怒るさくらと香澄に、エリカは舌を出す。

そこには、全く悪びれた様子はない、いつものエリカがいた。


「お前ら、面白すぎ!」


3人がにらみ合う中、玲司だけは腹を抱えて笑っている。


「コント見てるみたいだよな~」


笑い続ける玲司に、さくらと香澄は向き直る。






そして━━━






「うるさいっ!!」


「おごっ!!」




2人同時に、玲司の足の甲を踏みつけた。

2人の靴はエリカほど鋭くはないものの、両足を同時に襲う痛みに、もんどりうって倒れる玲司だった。


「今のは……アンタが悪いよ……」


足元に転がる玲司を見ながら、麻紀は悲しげにつぶやいていた。








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