桜の花びら舞う頃に
しかし……






~~~♪






世間は、悠希に返信させる暇を与えてはくれないらしい。

手にした携帯電話からは、着信を告げるロックバンドの歌が流れている。



「ったく……」



苦笑しつつ、受話ボタンを押す悠希。



「もしもし……」


『よ~う! おはよう、悠希!』



電話に出た悠希の耳に、勢いよく飛び込んでくる声。


「玲司……朝からテンション高いな……」

『まあね~』


2人は、声を出して笑い合った。


「今、た~のこと送ったからさ。今から向かうよ」

『オーライ! お待ちしています~』


短い会話で電話を切ると、悠希は車に乗り込んだ。


車内はまだ暑かったが、耐えられないほどではない。

悠希は携帯電話を助手席に置くと、アクセルを踏み込む。

車は、静かに走り出した。



助手席に置かれた携帯電話は、朝のメールが開いたままの状態になっていた……








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