桜の花びら舞う頃に
それから20分後……






悠希の車は玲司のアパートに到着した。


到着を知らせようと携帯電話を手に取る悠希。

しかし、エンジンの音が聞こえたのか、玲司は呼び出し音が鳴る前に部屋から出てきた。


「よう!」


お決まりの短い挨拶を交わすと、玲司は助手席へと乗り込んだ。


「しかし、今日も暑いなぁ!」


玲司は額の汗を拭うふりをする。


「今日は、どれだけ暑いんだろ……?」


そうつぶやく玲司は、勝手にラジオのスイッチを入れた。


『本日は、各地で35度を越える猛暑となり……』


ラジオでは、ちょうど天気予報が流れていた。


「うは……今日も厳しい暑さになりそうだな……」


玲司は、ため息をつく。

悠希も苦笑いを浮かべながら、車のギアを入れる。



車は、再びゆっくりと走り出した。








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