桜の花びら舞う頃に
「さくらちゃん、もう麻紀ちゃんとこにいるハズだよ。朝、メールがあったんだ」


「ふうん……」



さくらのことを告げる悠希に、玲司は短く答えた。


「お前、ふうんって……」

「いや……お前ら、メールするようになったんだな~と思って感心したんだよ」


そう言って、玲司は笑う。


「……まあね。最近、土日は4人で会うことが多いからな」


4人というのは、もちろん悠希、さくら、玲司、麻紀のことだ。


「拓海は、また由梨ちゃんの実家?」

「うん……夏休みに入ってから、木金土日の4日間通ってる」


小学校が夏休みに入ったからといって、悠希も同じように仕事を休むわけにはいかない。


そこで、平日の前半の月火水は悠希の実家。

後半の木金は由梨の実家で、悠希の仕事が終わるまで預かってもらうことになっているのだ。


しかし、最近は木金だけではなく、土日も由梨の実家に行っている。




(親離れの時期なのかな……)




そう思う悠希。

拓海の成長を嬉しく思う反面、少し寂しいものもある。


「おかげで、毎週お前と会ってるよな~」


悠希は、そう言って笑った。


「確かにな」


玲司も、一緒になって笑う。



車内は、2人の笑い声に包まれるのだった。








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