桜の花びら舞う頃に
車は、2人を乗せて麻紀のアパートへと走る。




『Kissの~魔法~♪ む~ねがドキドキ~♪』




ラジオからは、今朝、拓海が口ずさんでいた歌が流れていた。




(た~……何してるかな?)




ふと、物思いに更ける悠希。



「Kissの魔法……」

「え?」



不意をつく玲司の言葉に、思わず聞き返す悠希。


「あ、いや、こっちのこと」


玲司は、あわてて手を振ってごまかした。


「それより……お前さ。最近さくらちゃんと、かなり仲良くなったよな」

「そ……そうか?」


自分にはわからないと答えてみたものの、それは悠希も自覚していた。





さくらと一緒にいると楽しい。

そして、何故か心が安らぐ気がする。


それは、由梨と一緒にいた時と、よく似た感覚だった。






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