桜の花びら舞う頃に
その黄色の世界は、太陽の日差しを浴びて力強く輝く。


「どう? 凄いでしょー!」

「あ……ああ、これは驚いた……」


その言葉に、体中で喜びを表現する拓海。


「これ……拓海が……?」

「うん! ……ちょっとだけ、おじいちゃん、おばあちゃんにも手伝ってもらったけど……」


そして、力こぶを作る真似をする。


「地面を耕したり、種をまいたり……ほとんど僕たちだけでやったんだよ!」

「ワンッ!」


拓海の言葉に、ヒマワリが短く元気に吠えた。


「だから……前から、よくこっちに来てたのか……」

「えへへ~、そういうこと~!」


鼻をこすりながら、会心の笑みを見せる拓海。


「そうか……」


悠希は、そんな我が子の頭を優しくなでた。




(成長したんだな……)




悠希の胸が熱くなる。


「ワン、ワンッ!」


悠希と拓海の様子を見ていたヒマワリが、吠えながら玲司にじゃれついた。


「おっ? お前は、俺に誉めてもらいたいのか?」


玲司は笑いながら、ヒマワリを抱き上げる。

ヒマワリも嬉しそうだ。

玲司の顔を、ペロペロとなめている。



「あはは、やめろってー」


「あのね、向日葵はね……」



笑顔のまま、不意に拓海は話し出した。




「向日葵は……ママが一番好きだった花なんだよ!」






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