桜の花びら舞う頃に
「悠希……俺、思うんだ」


玲司は、空を見上げた。



「悲しみを忘れることなんて出来ないし、その想いを捨てるなんてことも出来やしない……」



空は、先ほどよりも暗雲が広がっている。



「でもな……」



玲司は視線を戻し、悠希を正面から見据えた。



「その想いを胸に抱えて、共に生きていくことは出来るだろう?」


「玲司……」


「だからお前たちは、由梨ちゃんの分まで幸せにならなきゃいけないんだ!」



玲司の言葉に、悠希は胸の奥が熱くなる。



「お前は……由梨ちゃんの想いを抱いて、生きて行けばいいんだよ……」



そう言って、玲司は優しく微笑んだ。






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