桜の花びら舞う頃に
ザーザーと、激しい雨が降り続く。

雷の音も聞こえる。


「まさか……午前中から、こんな雨が降るなんてな……」


玲司はつぶやきながら、服についた雨粒を払い落とした。


「ちょっと、濡れちゃったね~」


隣りの拓海も、玲司にならう。

ヒマワリは体を震わせ、雨粒を弾き飛ばした。


「でも、ここに小屋があってよかったな」


彼らが避難したこの小屋は、もともとは物置として使われていたものだった。


木造の壁にトタンの屋根、むき出しの地面。

強い風が吹くと、小屋はギシギシときしむ音を立てる。

しかし、この現状をしのぐことに問題はなかった。


「雨宿り、出来て良かったね~!」

「ワンッ!」


玲司の言葉に、拓海とヒマワリは元気に答える。





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