桜の花びら舞う頃に
「パパ……大丈夫?」



小屋にたどり着いた悠希は、拓海の言葉に出迎えられた。


「あんなところで、何をしてたんだ?」

「ちょっと……な」


尋ねる玲司に、悠希は微笑みを見せる。



「そうか……」



悠希の微笑みで全てを理解したかのように、玲司も笑顔を返した。


悠希も、2人と1匹にならって小屋の中に入る。


「パパ……びっしょり……」


心配そうに、のぞき込む拓海。

悠希は、拓海と同じ目線になるようにしゃがみ込んだ。

悠希の体からポタポタと雨の滴が流れ落ち、小屋の地面を黒く染めた。



「……た~」



悠希は、優しく呼びかける。


「なぁに~?」


小首をかしげる拓海。



「パパたち、この後、麻紀ちゃんや……さくら先生と会うんだけど……」


「うん」


「良かったら、た~も一緒に来ないか?」



その言葉に、拓海の瞳が大きく開く。



「うん!」



そして、向日葵のような笑顔で、大きくうなずくのだった。









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