桜の花びら舞う頃に
……あれ?
これ、どこかで……
しかも、『悠希くん』って……
悠希はあわて由梨を引き離す。
目の前の女性……
それは、いつの間にか拓海の担任、スーツ姿の綾瀬さくらに変わっていた。
「うわっ、いつの間に!?」
慌てふためく悠希に、さくらは優しく言う。
「どうしたの悠希くん? まだ1年生の生活に慣れないかな?」
「え……? 1年生って?」
言葉の意味が理解できない悠希。
「パパ、これ見て」
不意に自分を呼ぶ声。
振り返れば、そこには拓海が立っていた。
拓海の隣りには、全身が写る大きな鏡が立ててある。
悠希はその鏡に自分の体を写し愕然とする。
その体は、いつの間にか子供サイズに縮んでいたのだ。
「うわぁっ、俺、子供に!?」
思わず後ずさりをする悠希。
目には、先ほどとは違う涙が浮かぶ。
そんな悠希に、2人は優しい笑顔を浮かべた。
「……同級生だね、パパ!」
「お友達……いっぱい作りましょうね」