桜の花びら舞う頃に
強い孤独感が悠希を襲う。



「う~~~っ!」



まるで、この世界に自分だけ取り残されたような気がして、悠希は頭からタオルケットを頭からかぶった。





━━━寝てしまおう!!





眠ってしまえばこの孤独感から解放される気がして、悠希は必死に眠ろうとした。


しかし、必死になればなるほど眠れないものだと、よく人は言う。

悠希も、例外なくそれに当てはまっていた。


「こ……こういう時は……何か楽しいことを、思い浮かべるといいんだ……」


悠希はつぶやくと、そっと目をつぶる。





た~……


俺の大切な、た~……





まぶたの裏に、拓海の姿が浮かび上がる。


イメージの拓海は、まばゆいばかりの笑顔を見せていた。

悠希の顔にも、自然と笑みが浮かぶ。


不思議なもので、拓海の笑顔を想像すると、心が癒されていく。

体も楽になる気がする。





< 346 / 550 >

この作品をシェア

pagetop