桜の花びら舞う頃に
悠希は歩いていた。
暗雲立ちこめる草原を歩いていた。
草原は広く広く、終わりがないように見える。
悠希は、その草原をあてもなく歩いていた。
「……あれ?」
不意に、悠希の足が止まる。
「なぜ、俺は歩いているんだろう……?」
その理由がわからず、悠希は空を見上げた。
空一面の暗雲は、とてもとても厚く気分を重くする。
そのせいか、悠希は次第に息苦しくなってきた。
身体がグニャグニャになり、溶けていくような感覚になる。