桜の花びら舞う頃に

そのとき━━━





「うわっ!?」




突如として、悠希の足元に泥沼が出来ていた。


泥沼は、悠希の身体をゆっくりと飲み込んでいく。


「そ……底なしか!?」


腰まで飲み込まれても、まだ沈むのを止めない状況に、悠希は思わず悲鳴を上げた。


「くうっ!」


何かをつかもうと、懸命に手を伸ばす。

しかし、周りにつかまるような物はない。

その間にも、悠希の身体は胸、肩と沈んでいく。



「ダメか……!」



視界がぼやける。






思わず、悠希は目を閉じた━━━





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