桜の花びら舞う頃に
「楽しそうだこと……」



さくらはつぶやくと、出来上がった料理を器によそう。

美味しそうな香りが、辺りに漂った。



さくらが作った料理は、野菜がたっぷり入った雑炊だ。

ふんだんに野菜を使い、良く煮込んだこの雑炊は、栄養のバランスも消化もよい。



「美味しいって言ってくれるかな?」



料理が出来上がったことで、さくらの気分も少し晴れ渡る。

雑炊とスプーンをお盆に乗せると、さくらは寝室の扉を開いた。



「は~い、出来たよ~!」



その声に、真っ先に飛んで来たのはエリカだった。


「ありがとね! じゃ、後はアタシがやるから!」


そう言って、さくらの手からお盆を取り上げる。


「ほら悠希、雑炊が出来たよ~!」


まるで、自分の手柄のように振る舞うエリカ。


さくらは頬を膨らませながら、最初に座っていた椅子に腰を下ろした。


「あ……これは、ちょっと熱いかも」


エリカは、すくった雑炊を見つめる。


「出来立てですからね!」


思わず、さくらの声が大きくなる。




(さくらちゃん、機嫌悪そう……)




横目でチラリと、さくらを見る悠希。




(俺の体調が良ければ、エリカにストップかけられるんだけど……)




ポリポリと、頬をかく。




(さすがに、今の体調では……ねぇ)




理解を求める視線を送るが、返って来たのは怒りに燃える視線だった。






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