桜の花びら舞う頃に
「はぁ……」



寝室に、悠希のため息が響く。


「さくらちゃん、怒ってたな……」


上体を起きあがらせている悠希は、ガックリと首を落とす。


「そりゃ……エリカたちに押し切られた俺だって、悪いかもしれないけど……」


ボフッと、後ろに倒れ込むように横になった。


「今の俺に、それを止める力はないって……」


額に腕を当て、瞳を閉じる。



「なのに……」



次第に、悠希の中にやるせない気持ちが高まってきた。




「さくらの……バカー!」



「何ですって!?」




不意に響く声に、あわてて身体を起こす。






そこには……






自分をにらむ、さくらの姿があった。








< 372 / 550 >

この作品をシェア

pagetop