桜の花びら舞う頃に
~~~♪





そんな人恋しいセピア色の夜を裂いて、悠希の携帯が着信を告げる。



『もしもし、悠希くん』


「こんばんは、さくらちゃん」


『こんばんは……今、大丈夫?』


「うん、た~はもう、寝室で寝てるから」



そう言いながら、悠希は寝室の方をチラリと見た。


『そっか……今、何してたの?』

「今、部屋~。これから、ビール飲もうと思ってた」


悠希は笑いながら、テーブルの上に置いた缶ビールを取る。

そして、携帯電話を肩で挟むと、両手で缶ビールの口を開けた。

缶は『プシュッ!』と、小気味良い音を立てる。


『いいなぁ……あたしも、何か飲もうかな~』

「飲んじゃえ、飲んじゃえ! 一緒に乾杯しよう」

『うん!』


明るい声が響き渡った。







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