桜の花びら舞う頃に
それから5分後……





『あはははっ、ウソだぁ』

「いや、嘘じゃないんだよ! だって、この前さ……」



たわいもない会話で盛り上がる2人。

こうした会話が出来る今に、悠希は幸せを感じていた。






そして、そのまま20分ほど会話しただろうか。



『ねぇ、悠希くん……』



さくらは不意に、改まったように悠希の名前を呼んだ。



「うん?」


『あのね……10月4日って、た~君のお誕生日でしょ?』


「うん、そう! 知っていてくれたんだ……」



悠希の胸の奥が熱くなる。



『うん……でね……お誕生日パーティー、やらないかな~? って……』


「え? パーティー?」


『うん、今度の日曜日なんてどうかな~って思うんだけど……迷惑だった?』



悠希は携帯電話を耳に当てたまま、頭を左右に激しく振った。


「迷惑なんてとんでもない! た~も絶対喜ぶよ!」

『ホント? 良かった~!』


さくらの声が、明るくなる。


「じゃあ、メンバーはどうする?」

『……え』




(俺は、さくらちゃんと3人でやりたいな……)




さくらの返事に、淡い期待を持つ。



『じゃ、じゃあ……』



一瞬、間を置くさくら。





そして……





『……麻紀ちゃんたちにも声かけてみるね』




(ええっ!?)




しかし、返ってきた答えは、悠希の望んでいたものとは違っていた。


「う……うん、じゃあ日曜日にね」

『う、うん、じゃあね』


そう言って電話を切る。


「ふぅ……」


ため息をつくと、悠希は傍らに携帯電話を置いた。


「あ~、やっぱり、3人で~なんて上手くはいかないかぁ……」


ソファーに転がる悠希。

窓から夜空が見える。


「ふぅ……」


悠希は、もう一度ため息をついた。







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