桜の花びら舞う頃に
そして、誕生日パーティー当日……



「悠希~、ラブぅ!」

「ちょ、ちょっと! 悠希くんから離れなさいよ!」

「そうよ、月島くん迷惑してるじゃない!」



悠希の腕を取るエリカに、それを引き離そうとするさくらと香澄。




(賑やかなのもいいって思ったけど……)




ため息をつく悠希、わなわなと震えるさくら。




(これは、賑やかすぎーっ!!)




2人は、同時に心の中で叫んだ。


「今日も、人い~っぱい!」


しかし拓海は、悠希とさくらとは逆に、ニコニコ笑顔を見せている。




(まぁ……た~が喜んでくれているなら……)




悠希はそう考え、この騒動をやり過ごそうと決意した。



「悠希も大変だな……」


そんな悠希の表情を見た玲司が、麻紀にそっとつぶやく。


「うん……それにしても、香澄さんとエリカ……」

「ん? ……ああ、よくパーティーやるって嗅ぎつけたよな」


激しい喧騒を前に、麻紀と玲司は顔を見合わせた。


「あら、嗅ぎつけたとは失礼ね!」


香澄は、不満そうに腰に手を当てる。




しかし……




今回の件、さくらは麻紀と玲司にしか声をかけていない。

なのに、何故に香澄とエリカがこの場にいるのだろう?

首をひねる4人。


その様子を見据えながら、香澄は話し出した。



「だって今日は、た~ちゃんが7歳になって最初の日曜日じゃない!」


「え……なんでそれを……」



さくらは、驚きを隠せない。


「私が、た~ちゃんの誕生日を知らないとでも思った?」


鼻で笑う香澄。


「言っとくけど、私の方が付き合い長いんだから」


香澄のその言葉に、さくらは何も言い返すことができない。

ただ、ギュッと拳を握り締めるのみだった。






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