桜の花びら舞う頃に
「ちなみに、アタシは偶然~!」


エリカは、そんなさくらの様子などお構いなしに、明るく手をあげる。


「アタシは、日曜日だから遊びに来たって感じ~!」

「悠希くんも可哀想に……」


さくらは手を緩めると、『ふうっ』とため息をつく。



「アタシが来たら、偶然にも誕生日! これって運命……」


「「感じない!!」」



さくらと香澄は、声を揃えて強く言った。

2人の視線に、思わず首をすくめるエリカ。


さくらは、そのままエリカの隣りの悠希に視線を移した。


「で……悠希くんは、いつまでエリカと腕を組んでるつもり?」

「え? ……おわっ!」


慌てて、組まれた腕を外す悠希。


「あ~ん、悠希ぃ」

「や、やめろって! みんな見てるだろっ!」

「ちぇー……」


エリカは、残念そうに唇を尖らせた。

しかし、何を思ったのかすぐに笑顔になる。


「悠希は……照れ屋さんなんだね~」


ケタケタ笑うエリカ。


その場にいる全ての者からため息が漏れる。




(た~のためとはいえ……これはちょっと、つらいな……)




悠希は、心の中で泣いていた。









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