桜の花びら舞う頃に
賑やかな雰囲気のまま、パーティーは始まった。



まずは、各自が用意してきたプレゼントを渡す。


悠希は、拓海の好きなアニメのDVDセット。


玲司と麻紀は、合体ロボットの玩具。


香澄は洋服。


さくらは、本と拓海の似顔絵を送った。



「さくらちゃん、上手いなぁ!」



似顔絵を見た悠希は、思わず感嘆の声をあげる。



「これは……なかなかやるわね……」



香澄も、素直にさくらの絵を誉めた。




キャンバス一面に描かれた、拓海の笑顔。


それは、とても幸せそうで……


見る者の心にも、優しい温もりが広がっていった……






「で……あなたは?」



不意に、香澄はエリカを見る。


「あ、アタシ?」


その言葉に、エリカは焦りを見せる。


「アタシは……さすがに用意してない」


ガックリと、うなだれるエリカ。



「……でもね!」



しかし、急にガバッと顔を上げた。

その顔は、笑顔が輝いている。



「そのかわり、今度来る時には、スッゴいの用意しとくから!」


「え~? スッゴいの~?」



拓海は、その言葉に驚きの声を上げる。



「うん、もうスッッッゴいの! 期待してて!」



そう言って、エリカはVサインを突き出した。








< 383 / 550 >

この作品をシェア

pagetop