桜の花びら舞う頃に
「わ~、ケーキが2つ~!」



テーブルに並べられた2つの箱を見て、拓海が歓喜の声を上げる。



一つは、香澄が用意したチョコレートケーキ。

最近、雑誌などでも取り上げられた、有名店の一押し商品だ。

これを買うためには、何日も前から予約しなくてはならない。


「ずっと前から、た~ちゃんの誕生日にはこのケーキって決めていたのよ!」


そう言って、香澄は笑顔を見せる。

拓海の口には、よだれが浮かんでいた。





そして、もう一つの箱。

こちらは、さくらが用意したものだった。


「あたしのは、手作りなんだ」


そう言って、さくらは箱からケーキを取り出す。


「うわぁ!」


拓海の顔が輝く。

生クリームとフルーツを、ふんだんに使用したさくらのケーキ。


「ちょっと、形は崩れちゃったけど……」

ペロッと、舌を出すさくら。


「ううん、凄いよ!」


悠希にも、自然と笑顔が浮かぶ。


「早く、早く食べよ~!」


部屋の中に、待ちきれない拓海の声が響き渡った。







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