桜の花びら舞う頃に
「はい、悠希~!」


勝ち誇ったように、エリカはケーキを差し出す。





その瞬間……





「悠希くん!」


さくらは立ち上がった。


「ちょっと待って!」


言うが早いか、さくらは自分のケーキを手早く小皿に乗せる。

そして、エリカの隣りに並ぶと



「はいっ、どうぞ!」



と、悠希にケーキを差し出した。




(この子は、案外、負けず嫌いなのよね……)




麻紀は、心の中で苦笑いを浮かべた。


エリカは、さくらをにらむ。


「ちょっと、どういうつもり?」

「そっちこそ!」


さくらも負けじと、にらみ返す。


「こ、こんな日に、喧嘩するなって」


悠希は2人をたしなめるが、その声は届かない。


「アンタ、最近、悠希のことになるとムキになるよね」

「……そう?」


エリカは、目線をそらさない。


「アンタ、もしかして……」

「な……なによ?」


マジマジと、さくらを見るエリカ。

さくらは、ゴクリとつばを飲む。



「アンタも、悠希のこと好きっていうんじゃないでしょうね?」


「!!」



皆の視線が、一気にさくらに集まった。


「さ、さくら……」


麻紀は、拳を胸に押し当てる。


さくらは、うつむいていた。







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