桜の花びら舞う頃に
第45話『ドラゴン・ロード』
グランドパレス大崎━━━
それは、大崎グループが経営する、巨大なホテルだ。
日本各地はもとより、現在では海外にも進出している。
きらびやかな外観と、豪華な内装。
そして、教育の行き届いたスタッフと、それにより生み出される超一流のサービス。
金額が高いことを除けば、どれを取っても文句のつけようがない。
それゆえ、有名芸能人や各業界の首脳陣が利用することも多かった。
若者の間では、このホテルを利用することが、ある種のステータスとさえなっているぐらいだ。
そのロビーに、上品なドレスに身を包んだ女性が、1人立っていた。
女性は、不機嫌そうにつぶやく。
「お兄ちゃん……アタシに何の用なんだろ?」
エリカだ。
今日のエリカは、いつものタイトなワンピース姿ではない。
ドレスの胸元は大きく開いているものの、そこにパールのネックレスを合わせ上品に着こなしている。
しかし、その姿とはうらはらに、表情は暗く硬い。
エリカは、長い茶髪を指でクルクルと巻いた。
昨日の誕生日会の帰り道にかかってきた電話。
それは、エリカの兄の大崎 龍一(おおさき りゅういち)からだった。
用件は、明日の午前10時に、このホテルに来いというもの。
「いっつも、こっちの都合はお構いなしなんだよね……」
普段の自分を棚に上げ、エリカはため息をつく。
その時、ピシッとした黒のスーツに身を包んだ男が、静かに歩み寄ってきた。
このホテルの支配人だった。
「お久しぶりです、エリカ様」
そう言って、支配人は恭(うやうや)しく頭を下げる。
「先ほどから、龍一様がお待ちです」
その言葉に、エリカの顔は更にこわばった。
その様子を伺いながら、支配人は笑顔を絶やさずに言葉を続ける。
「エリカ様、こちらにどうぞ」
エリカは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
それは、大崎グループが経営する、巨大なホテルだ。
日本各地はもとより、現在では海外にも進出している。
きらびやかな外観と、豪華な内装。
そして、教育の行き届いたスタッフと、それにより生み出される超一流のサービス。
金額が高いことを除けば、どれを取っても文句のつけようがない。
それゆえ、有名芸能人や各業界の首脳陣が利用することも多かった。
若者の間では、このホテルを利用することが、ある種のステータスとさえなっているぐらいだ。
そのロビーに、上品なドレスに身を包んだ女性が、1人立っていた。
女性は、不機嫌そうにつぶやく。
「お兄ちゃん……アタシに何の用なんだろ?」
エリカだ。
今日のエリカは、いつものタイトなワンピース姿ではない。
ドレスの胸元は大きく開いているものの、そこにパールのネックレスを合わせ上品に着こなしている。
しかし、その姿とはうらはらに、表情は暗く硬い。
エリカは、長い茶髪を指でクルクルと巻いた。
昨日の誕生日会の帰り道にかかってきた電話。
それは、エリカの兄の大崎 龍一(おおさき りゅういち)からだった。
用件は、明日の午前10時に、このホテルに来いというもの。
「いっつも、こっちの都合はお構いなしなんだよね……」
普段の自分を棚に上げ、エリカはため息をつく。
その時、ピシッとした黒のスーツに身を包んだ男が、静かに歩み寄ってきた。
このホテルの支配人だった。
「お久しぶりです、エリカ様」
そう言って、支配人は恭(うやうや)しく頭を下げる。
「先ほどから、龍一様がお待ちです」
その言葉に、エリカの顔は更にこわばった。
その様子を伺いながら、支配人は笑顔を絶やさずに言葉を続ける。
「エリカ様、こちらにどうぞ」
エリカは、ゴクリと唾を飲み込んだ。