桜の花びら舞う頃に
津上は、病院の窓から外を眺めていた。


地位も名誉も、そして婚約者までも、今のところ順調に手に入っている。





……しかし、一つ気がかりなことがあった。





それは━━━





「エリカさんの本心が見えない……」



津上と話すエリカは、いつも笑顔を見せている。

しかし、それが心からの笑顔じゃないことは、津上も気が付いていた。



「一体、どうすれば……」



その時、1台の高級セダンが、東櫻医大病院の駐車場に入ってきた。



あわただしく走るセダンに、津上は何気なく目を向ける。




そして、息を飲んだ。




「エリカさん!?」




身体に電気が通ったような衝撃。


津上は、思わず走り出していた。









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