桜の花びら舞う頃に
キタ━━━ッ!!





それって、アタシのことよね!





悠希は、言葉を続ける。



「その人が笑うと、俺はとても嬉しくて……」


「うん!」


「その人と一緒にいると、気持ちが安らぐんだ……」


「うんうん!」



悠希は、さくらを思い描き言葉をつづる。





しかし……





言えば言うほど、何故かエリカの顔が輝いていく。





まさか……





「あ……あの、エリカさん?」


「なぁに、ダーリン?」



この瞬間、エリカが思いっ切り勘違いしていることを、悠希は確信した。


「え、えっと……」


悠希は、頬をかく。



「俺の好きな人って……エリカのことじゃないんだけど……」


「……え?」



エリカの笑顔が固まる。



「別の人……なんだよ」


「……ウソでしょ?」



信じられないという表情で、エリカは首を左右に振った。


「ごめん……嘘じゃない……」


その言葉を受け、エリカの全身から力が抜けていく。

エリカは、崩れるようにその場に座り込んだ。


「エリカ……」

「ヒドい……」

「え?」

「ヒドいよ悠希! 今まで言ってきた愛の言葉は、全部ウソだったの!?」


キッと、悠希をにらむエリカ。



「ごめん……全て、エリカの勘違いなんだ……」



悠希は、悲しそうに見つめ返す。



「俺がハッキリ……言ってたつもりだけど……もっとハッキリ言えば良かったんだよな」



そして、悠希は頭を勢い良く下げた。



「だから、ごめん!」


「やめて……」


「俺は、エリカとは……」


「それ以上、言わないで!」









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