桜の花びら舞う頃に
「どうしたの?」


携帯電話を真面目な顔で見つめる悠希に、さくらが問いかける。


「これ……見ていいよ」


悠希は、そっと携帯電話をさくらに手渡す。


「……こ、これ!」

「今まで、うるさいって思ってたけど……いざ、こうなってみると、少し寂しい気もするよね」


悠希は、そう言って笑う。


「うん……」


さくらも少し気が抜けた気分で、携帯電話に目を落とした。




(……あれ?)




「騒がしかった日々が、何だか懐かしく思えるよね……」



賑やかだったあの日々は……

もう、戻ることはない。



遠い目をして、想いを馳せる悠希。



「悠希くん……」



さくらは、すっと悠希に携帯電話を返す。





そして……





「そんなこと、ないと思うよ……」




さくらは、携帯電話のディスプレイを指差す。




「え?」




悠希は、あわてて携帯電話を見直した。


一文一文、丁寧にスクロールさせる。





そして……





「ああっ!」





エリカの文章には、まだ続きがあったのだ。





その内容とは……










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